楽曲分析3『レッド・パージ!!!』
- clesre
- 2021年3月20日
- 読了時間: 3分
P.I.N.A.氏の曲『レッド・パージ!!!』を分析しました。
コード進行は中の人の耳コピによるものなので、必ずしも正しいという保証はできません。
□全体の構造
サビ(1) 0:00~ [幻想に憑かれた~同じじゃないか]
間奏(1) 0:17~
Aメロ(1) 0:34~ [意思無きファナティック~程度も知れている]
Bメロ(1) 1:10~ [先の映像は~皆気付くでしょう]
サビ(2) 1:23~ [国有鉄道を転覆して~悲しいじゃないか]
――――
間奏(2) 1:50~ [さぁ、さぁ、さぁ…]
Aメロ(2) 2:10~ [安易な言葉~It's like this]
Cメロ 2:36~ [Something is beautiful~with their overweight]
Bメロ(2) 2:49~ [察しの通り~夢を見てるの?]
サビ(3) 3:03~ [学識を得て~無縁桜まで]
――――
間奏(3) 3:29~ [夏が来た!]
Dメロ 3:56~ [Government!!~薄氷の上に立っている]
Bメロ(3) 4:12~ [浅薄なるは~なぜここにいるの?]
ラスサビ 4:40~ [毒を飲み込めば~悲しいじゃないか]
アウトロ 5:07~
■拍子
4/4拍子
■調性
サビ(1)~Bメロ(3) (0:00~) ニ短調(Dm)
↓全音上へ転調
ラスサビ~アウトロ (4:40~) ホ短調(Em)
※このサイトでは、ディグリーネームはⅠを主音とした自然長音階で定義している。
□コード進行
■サビ(1)
[幻想に憑かれた~同じじゃないか]
|BbM7|-|
|D9(omit3)|-|
|Gm6(9)|Am7(11)|
|BbM7(13)|-|
4小節目は、伴奏(といってもピアノの高音だけ)ではDm、メロディーではDとなっている。メジャーとマイナーが共存している、いわば矛盾した形。
■間奏(1)
|BbM9|C(9)|
|Dm7|D7|
|G9sus4|A7sus4|
|BbM7|C C/E♭|
|Dm7 G|B♭ Am7|
|Dm7 G|B♭ C|
|Dm7 G|B♭ Am7|
|Dm7 G|B♭M7 C|
8小節目の(C→)C/E♭では、Cからそのまま残ったミと最低音のミ♭とが増8度になる。増8度(短9度)の音程は不自然で濁った響きなので普段は避けられるが、この場合はトニック(Dm)に進行する力を持たせるために上手く生かしている。
また10小節目のB♭でも、コード名には含めなかったがピアノでド♭(シ)が鳴っていて、最低音シ♭との間に短9度が発生している。
■Aメロ(1)
[意思無きファナティック~程度も知れている]
(|Dm Gsus4|B♭ Am7|
|Dm Gsus4|B♭ C|
|Dm Gsus4|B♭ Am7|
|Dm Gsus4|B♭ C|)×2
■Bメロ(1)
[先の映像は~皆気付くでしょう]
|B♭M7|B♭M7|
|Dsus4|D|
|B♭|C|
|B♭6(9) C6|Dm7|
■サビ(2)
[国有鉄道を転覆して~悲しいじゃないか]
|BbM9|C6|
|D7sus4|Dm7 D7 C|
|Gm11|Am7|
|B♭M7(#11)|C9|
|BbM7(♭9)|C6|
|Dm9|DM9|
|Gm9|Am7|
|B♭M9|C6|
■間奏(2)
[さぁ、さぁ、さぁ…]
|BbM9|C(9)|
|Dm7|D7|
|G9sus4|A7sus4|
|BbM7|C6 C/E♭|
|Dm9|B♭M9|
|Am7|Gm7|
■Aメロ(2)
[安易な言葉~It's like this]
(|Dm Gsus4|B♭ Am7|
|Dm Gsus4|B♭ C|
|Dm Gsus4|B♭ Am7|
|Dm Gsus4|B♭ C|)×2
■Cメロ
[Something is beautiful~with their overweight]
|Dm(11)|Dm(11)|
|Bb/A|Bb/A|
|Dm(11)|Dm(11)|
|Bb/A|Bb/A|
■Bメロ(2)
[察しの通り~夢を見てるの?]
|B♭M7|B♭M7|
|Dsus4|D|
|B♭|C|
|B♭6(9) C6|Dm7|
■サビ(3)
[学識を得て~無縁桜まで]
|BbM9|C6|
|D7sus4|Dm7 D7 C|
|Gm11|Am7|
|B♭M7(#11)|C9|
|BbM7(♭9)|C6|
|Dm9|DM9|
|Gm9|Am7|
|B♭M9|C6|
■間奏(2)
[夏が来た!]
|BbM9|BbM9|
|D7sus4|D7|
|Gm9|A7sus4|
|BbM7|C6 C/E♭|
|BbM9|C(9)|
|D7sus4|D7|
|Gm9|A7sus4|
|BbM7|C6 -|
■Dメロ
[Government!!~薄氷の上に立っている]
|Gsus4(9)|E♭M7(#11)|
|Gsus4(9)|E♭M7(#11)|
|DM7|C6(9)|
|F6(9)|F6(9) G|
|A7|A|
sus4(9)、6(9)のような変わったコードが出てくる。
これは5度(4度)堆積の転回形といえる。例えばC6(9)の構成音は、ド→ソ→レ→ラ→ミの順にすると間隔がすべて完全5度になる。
不協和感をそれほど出さずに調性をぼかせる面白いコード。
■Bメロ(3)
[浅薄なるは~なぜここにいるの?]
|A B♭M7|B♭M7|
|D7sus4|D7|
|B♭M7|B♭M7|
|D7|D7sus4 D7|
|B♭M7|B♭M7|
|- [Dm9]|- [Dm9]|
|- [B♭]|- [C]|
|B♭6(9) C6|Dm7|
|D|
■ラスサビ
[毒を飲み込めば~悲しいじゃないか]
|CM9|D6|
|E7sus4|Em7 E7 E|
|Am9|Bm7|
|Cm7(#11)|D9|
|CM7(♭9)|D6|
|Em9|EM9|
|Am9|Bm7|
|CM9|D6|
■アウトロ
|CM9|D(9)|
|Em7|E7|
|A9sus4|B7sus4|
|CM7|D6 E♭aug|
|CM9|D(9)|
|Em7|E7|
|A9sus4|B7sus4|
|CM7|D6 E♭aug|
|Em9|
□その他補足
9度や11度のテンション(3度が無いときはsus2やsus4と表記)が目立つ。
またトニックのⅠm(Dm)へ向かうのはドミナントのⅤm(ニ短調のAm)ではなく、Ⅴmの代理コード♭Ⅶ(C)であることが多い。この♭Ⅶ(C)は平行長調(ヘ長調)のドミナントである。
Dメロの9小節目~Bメロ(3)の1小節目にかけて、2拍3連符でリズムが乱されるように感じるが、拍子やテンポは変わっていない。
後半はさらに8分・16分音符が登場し、ポリリズムとなる。
終盤で全音上へ転調する。全音上というのは(距離そのものを見ても、5度圏で見ても)比較的近いので、あまりインパクトを与えずに転調できる。
ちなみに半音上への転調も他の曲でよく見かけるが、5度圏で見ると半音は遠いので音階の共通音も少なく、全音転調よりも大幅に雰囲気が変わった印象になる。
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