楽曲分析5『ホルマリンの海』
- clesre
- 2021年4月5日
- 読了時間: 3分
デッドボールPの曲『ホルマリンの海』を分析しました。
コード進行は中の人の耳コピによるものなので、必ずしも正しいという保証はできません。
□全体の構造
イントロ 0:00~
Aメロ(1) 0:41~ [ホルマリン漬けにした~暗い夢へ落ちるの]
Bメロ(1) 1:02~ [白いドレス~誓います]
サビ(1) 1:23~ [ホルマリンの海で~誰もわからない]
――――
間奏 1:50~
Aメロ(2) 2:12~ [混ざり合う血と~ぽたりぽたり落とすの]
Bメロ(2) 2:33~ [白いベール~誓います]
サビ(2) 2:54~ [ホルマリンの海で~誰もわからない]
――――
Cメロ 3:20~ [ゆらゆらゆらめいて~忘れることも無い世界へ]
ラスサビ 3:41~ [ホルマリンの海で~誰もわからない]
■拍子:4/4拍子
■調性:ニ短調(Dm)
※このサイトでは、ディグリーネームはⅠを主音とした自然長音階で定義している。
□コード進行
■イントロ
|Dsus4(9) Gsus2/B♭|A/C# Adim/C|
|G/B F|Dsus4 G/A|
|Dsus4(9) Gsus2/B♭|A/C# Adim/C|
|G/B|Gsus2/E♭|
|-[B♭M7 Dm/C C/E Am/G]|
|Dm7|Dm7|
|B♭M7|B♭M7|
|FM9|F6|
|Csus2/E|E♭M7(#11)|
|Dm7|Dm7|
|B♭M7|B♭M7|
|FM9|F6|
|Csus2/E|E♭M7(#11)|
|-[Gsus4]|
中段8小節目のE♭M7(#11)では、上の2音がD・Aとなり、これらは解決先のDmに含まれるものを先取りしたものと言える。
■Aメロ(1)
[ホルマリン漬けにした~暗い夢へ落ちるの]
|Dm7|Dm7|
|B♭M7|B♭M7|
|FM7|FM9|
|Em7♭5|A7|
|Dm7|Dm7|
|B♭M7|B♭M7|
|FM7|FM9|
|Em7♭5|A7|
■Bメロ(1)
[白いドレス~誓います]
|B♭M9|Am7|
|Dm7|D7sus4/E Bm7♭5|
|Gm9|Am7|
|Dm7|Am7/D|
|B♭M9|Am7|
|Dm7|D7sus4/E Bm7♭5|
|B♭M7|Gsus2/E|
|E♭M7|A7|
■サビ(1)
[ホルマリンの海で~誰もわからない]
|Dm9 Gsus2/B♭|A7/C# Cm6|
|G/B D7sus4/B♭|Am7 G|
|Dm9 Gsus2/B♭|A7/C# Cm6|
|E♭M7 Gsus4|G|
|Dm9 Gsus2/B♭|A7/C# Cm6|
|G/B D7sus4/B♭|Am7 G|
|Dm9 Gsus2/B♭|A7/C# Cm6|
|E♭M7|E♭M7|
|Gsus2/E|Gsus2/E|
|Bm7♭5 B♭M7|Dm|
B音が多用されている。これはドリアンスケールに含まれるⅥ度音で、♭Ⅵ(通常のマイナースケールに含まれる)より明るい(≒長調に近い)イメージを持つ。
上段2~4小節目では、ベースがC#からAまで半音ずつ下がるが、その他の構成音の移動が大きいためクリシェのような滑らかさは無い。
下段7小節目にE♭M7(♭ⅡM7)がある。♭Ⅱは通常はV(A、A7)の代理としてDmに解決するが、この場合は解決を後に延ばしている。
■間奏
(|Dm7|Dm7|
|B♭M7|B♭M7|
|FM9|F6|
|Csus2/E|E♭M7(#11)|)×2
|-[Gsus4]|
■Aメロ(2)
[混ざり合う血と~ぽたりぽたり落とすの]
|Dm7|Dm7|
|B♭M7|B♭M7|
|FM7|FM9|
|Em7♭5|A7|
|Dm7|Dm7|
|B♭M7|B♭M7|
|FM7|FM9|
|Em7♭5|A7|
■Bメロ(2)
[白いベール~誓います]
|B♭M9|Am7|
|Dm7|D7sus4/E Bm7♭5|
|Gm9|Am7|
|Dm7|Am7/D|
|B♭M9|Am7|
|Dm7|D7sus4/E Bm7♭5|
|B♭M7|Gsus2/E|
|E♭M7|A7|
■サビ(2)
[ホルマリンの海で~誰もわからない]
|Dm9 Gsus2/B♭|A7/C# Cm6|
|G/B D7sus4/B♭|Am7 G|
|Dm9 Gsus2/B♭|A7/C# Cm6|
|E♭M7 Gsus4|G|
|Dm9 Gsus2/B♭|A7/C# Cm6|
|G/B D7sus4/B♭|Am7 G|
|Dm9 Gsus2/B♭|A7/C# Cm6|
|E♭M7|E♭M7|
|Gsus2/E|Gsus2/E|
|Bm7♭5 B♭M7|Dm|
■Cメロ
[ゆらゆらゆらめいて~忘れることも無い世界へ]
|Dm7|Dm7|
|B♭M7|B♭M7|
|Dm7|Dm7|
|B♭M7|B♭M7|
|Dm7|Dm7|
|B♭M7|B♭M7|
|Dm7|Dm7|
|B♭M7|-[B♭M7 Dm/C C/E Am/G]|
■ラスサビ
[ホルマリンの海で~誰もわからない]
|Dm9 Gsus2/B♭|Esus4/C# Cm6(9)|
|G/B D7sus4/B♭|Am7 G|
|Dm9 Gsus2/B♭|Esus4/C# Cm6(9)|
|E♭M7 Gsus4|G|
|Dm9 Gsus2/B♭|Esus4/C# Cm6(9)|
|G/B D7sus4/B♭|Am7 G|
|Dm9 Gsus2/B♭|Esus4/C# Cm6(9)|
|E♭M7|E♭M7|
|Gsus2/E|Gsus2/E|
|Bm7♭5 B♭M7|Dm|
|B♭M7|B♭M7|
|Gsus2/E|Gsus2/E|
|E♭M7 Am/C|Dm|
□その他補足
基本的なコードの形(長/短3度おきに音を重ねる)からかけ離れた和音が多い。
そのため曲での音高順をなるべく再現しようとして読みにくいコード名になってしまったものがある。
分数コードの中でもGsus2のオンコードが多く見られるが、この時のベース音はE、B♭の2つがある。Gsus2/Eの場合は4度堆積(E→A→D→G)のような協和度は高いが調性のぼけたコード、Gsus2/B♭の場合は単にB♭M7の代理として使われている。
augやdimのような和音は情感を強く伝えるが不協和度が高い。
逆にこの曲ではもともと音の歪みやノイズが多いので、augやdimをほとんど使わず、完全4度などの協和度の高い(純正音程との誤差が少ない)音程を中心に和音を作ることでうまく不協和度を抑えて、さらにかつ調を一瞬見失うような進行を実現している。
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